「サヌカイト」は固い棒などでたたくと澄んだきれいな音がする天然石です。世界で最大の産出地は香川県で、すでに旧石器時代には矢ジリや石刀として狩りなどに使われており、江戸時代には音のなる道具としても使われ始めたそうです。1981年に地質学者のヴァインシェイクが讃岐(さぬき)の岩の意をこめて「サヌカイト」と名付けたと言われ、1964年の東京オリンピックの開会を告げる合図としても使われました。
今回はサヌカイトを使用した製品づくりに取り組む平井石産の事務所兼作業場にお邪魔して平井美恵子さんにお話をうかがいました。
平井石産はもともと石の採掘から始まり、墓石をメインで扱う石材店でしたが、坂出ブランドの発足がきっかけで2012年から新たにサヌカイトの商品の販売を始めたそうです。現在は美恵子さんと社長のお二人で全てを切り盛りされていて、サヌカイト製品はなんと主に美恵子さん一人で作られています。
もともとは表面がザラザラしたサヌカイトの原石を何枚もの石板状に切断します。そしてその1枚の石板をさらに細い棒状に切断します。最後に角を面取りして表面を磨いて風鈴やチャーム※が出来上がります。
最初はグラインダーを使って手作業で石の切断を行っていたそうですが、サヌカイトは欠けやすく加工が難しいのでまっすぐきれいに切れずよく割れていたそうです。自作でグラインダーを固定する台を作ったりと試行錯誤の末、今は平らな円盤状の歯がついた大型の設置式の機械を使っています。歯の大きさが機械ごとに違うので削りたい石の大きさによって機械も使い分けます。機械を動かすと大きな音を出すため大声で叫ばないと会話もできないようで、その様子はまるで喧嘩のようとのこと(笑)。
演奏用の石琴は複数のチューナーを使い、微調整を繰り返すそうです。
平井さんによるとサヌカイトの魅力はそのゴツゴツとした無骨な見た目と音とのギャップだそう。今回お話を伺ってみると音に対しての繊細なこだわりなど、女性が作られているのも納得だと感じました。
「讃岐」「石」「音」にちなんで新たに「SANUKITONE」というブランドを立ち上げ、まだまだ全国的に知名度の低いサヌカイトをより多くの人に知ってもらいたいそうです。
※チャームは栗林庵店頭のみの販売となります。